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スケルトンとインフィルを意識的に分離した考え方で設計されたこうしたマンションのことを、SIマンションといいます。
しっかりしたスケルトン(躯体)をつくり、あとのインフィル(内装仕上げ)は購入者が自由におやりなさいというマンションです。 この方式だと、将来の間取り変更やリフォームも、スケルトンを傷めることなく工事が可能です。

日本におけるSIマンションの先鞭とすべく、都市公団(旧住宅都市整備公団)が東京都世田谷区軒茶屋に所有する土地の一画にマンション事業を展開しました。 SI方式で建物を建設することを条件に、民聞から設計コンペ方式で事業提案を公募したものです。
非常に高い倍率で即日完売しました。 工事は今年(2000年)末には完成、入居開始の運びとなっています。
土地の「売主」は都市公団、建物の「売主」は興和不動産とHコーポレーシヨン、設計・施工がHコーポレーションという役割分担になっています。 志は高く、スケルトンの耐用年数は1OO年を目指し、高強度コンクリートを使用して、階高は3メートルを確保。
間取りの自由性を維持するために床下配管を採用し、ゆったりした寸法をとっています。 初めての試みということもあって、インフィルは完全に自由というわけにはいかず、ある程度の制約が設けられました。
これは、現段階ではコスト、工期の面からも止むを得なかったようで、今後の課題といえます。 というのも、購入者は専門家ではないので、間取りを含めあらかじめ数種類のプランを用意しておく必要があったためです。
また、インフィルが決まらないと契約金額も定まらないので、現場の担当者は購入者との対応に相当な苦労を強いられたようです。 これを機に、いろいろなつくり手がSIマンションを手がけていってほしいものです。

それらの積み重ねにより、さらに進歩すれば、その耐久性、更新性、可変性の魅力を生かして、3代にわたって住み続けられる、資産価値の高いものが実現することになります。 ちなみに、最近よく見かける「内装を選べるマンション」というのは、「SIマンション」とは似て非なるものです。
内装を選べるとはいっても、普通の分譲マンションでは、せいぜいが壁紙の色や床の材質、あるいはキッチンキャビネットなど、表面的なものを選べる程度にすぎません。 また、新築の場合は、着工前にいくつかのタイプから好みの間取りを選べるシステムもあるようですが、せいぜいがリビングを広くするか、和室を洋室にするという程度の選択肢でしかありません。
つまり、デザインの自由度が「SIマンション」とは雲泥の差があるのです。 世間は出口の見えない平成不況のまっただなかにあるものの、マンション業界はいま、空前ともいえる好況に沸いています。
「景気対策」の名の下、住宅ローン金利が低い水準で推移していることや、税制面での優遇などの後押しがあるおかげで、11年度の首都圏マンションの年問販売戸数は、過去最高の8万9133戸を記録しました。 この勢いは衰えず、2000年度は9万戸を大きく超える供給戸数が見込まれます。
そうなると、この機会に「そろそろ我が家も、マンションのひとつでも購入しょうか」と考えるのは当然かもしれません。 しかし、その決断が未来の後悔につながることもあるので、もう少しいろいろな要素を検討しながら「グッド・タイミングを待つ」という心構えも必要です。
先達たちの典型的な失敗例を紹分しましょう。 Sさんが営業マンの甘い言葉に誘われてマンションを購入したのは、バブル崩壊直後のことでした。
販売価格には4000万円台後半の値がついていたものの、「500万円ほどディスカウントするから」といわれて決断しました。 しかし、その後数年がたち、相場は大きく崩れ、いまでは近隣に、ほぼ同規模の物件が3000万円台で売られている状況です。

しかも、そちらのほうが仕様でもはるかに上回っているものがほとんどですから、Sさんにしてみれば悔しいことこの上ありません。 そこでSさん、買い替えを検討してみました。
が、困った問題に気づきます。 買い替えのためにいまのマンションを売っても、次のマンションの頭金どころか残っているローンすら償却できないのです。
せめて金利だけでも安くしようとローンの借り替えも検討しましたが、融資条件すべてを満たすことができず、こちらも断念。 Sさんは頭を抱えて悶々としている以外、なにも手が打てないのです。
一方の0さんも、マンションを購入したのはバブル期のことでした。 いわゆる「ゆとり返済」という制度が導入された時代です。
自分の収入を見つめると、返済計画に一抹の不安を感じたものの、この新制度を信じて決断に踏み切りました。 この「ゆとり返済」というのは、当初5年間の返済額を低くおさえ、その分、6年目以降の返済額を増やすというものです。
収入の低い若い人でも住宅が購入できるよう考案されたシステムということになっていますが、これがクセモノ。 「給料は年々上がるもの」という神話の上に成り立っていたこのシステム。
最初の返済額が少ないので一見返済しやすいように思えます。 しかし、よく考えてみると、実際には、いたずらに利息をふやしているだけなのです。
そして、その後バブルは弾け、予想もしなかった不況が訪れました。 Oさんの給料は上がるどころか下がり、リストラの危機すら背後に迫っている日々です。
そんななか、すでに「ゆとり返済」期間を過ぎているOさんは、急に額のふえた月々のローン返済を抱え、にっちもさっちもいかなくなっているのです。 SさんとOさんの失敗は、自前に示されたメリットばかりに自がいき、リスクに目が届かなかったゆえのものだといえます。

彼らが特別というわけではなく、多くの人が同じ状況に陥っているのです。 現実に、バブル期に建築されたマンションの値下がりは想像以上で、当時に比べて平均1000万円以上も資産価値を下げているという数字もあるほどです。
バブル後に建築されたマンションでも、土地の値下がりにともなって大きく資産価値を低下させているケースがあるので、こうしたリスクの問題は真剣に検討しなければなりません。 ローンというのは、潜在的に危険を含んでいます。
返済が生活に重くのしかかって他を圧迫している例は、枚挙にいとまがありません。 リストラや病気、大けがをすることもあるでしょうから、リスク回避のために保険に入るなど、いざというときのための備えも検討しておく必要があるでしょう。
マンション購入のタイミングとして、もうひとつ大切なこと。 それは金利の動向です。
通常、マンションを購入する人は、物件の価格にばかり目がいきます。 しかし、金利を見過ごしてはいけません。
金利が安ければ、実際上安く購入したのと同じことになるからです。 金利が最も高かったときと低かったときの差は、67パーセン卜ほどもあります。
これだけちがうと、実質返済総額は、マンション価格の「2倍」になるか「3倍」になるかくらいの差が出てくるといっても過言ではありません。 目先の利益が気になるのは人間の心理かもしれませんが、その結果として一時的に得られるものはたかが知れています。
それよりも、5年後、20年後と、長期的なビジヨンで実利を判断できる目を養いたいものです。


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